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聴覚障害者「演説分からない」 統一地方選、費用などが壁に

(最終更新 4月20日 17時26分)

社会一般
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2019 統一地方選
 統一地方選は21日に各地で市長選など後半戦の投開票がある。候補者たちは選挙戦最終日の20日、最後の訴えを続けるが、聴覚障害者からは「演説内容が分からない」との声が上がる。費用などの問題から個人演説会などで手話通訳者の導入などに踏み切る候補者が少なく、関係者は改善を求める。
 「最寄り駅で候補者の演説を見たが、当然のように手話通訳などはなかった」。こう訴えるのは、自動車部品メーカーの工場で働く三重県鈴鹿市の会社員、太田学さん(42)。20歳の時に交通事故で両耳の聴覚を失った。
 同市では21日に市議選が投開票されるが、候補者の街頭演説や個人演説会で、太田さんが手話や要約筆記を目にしたことはない。太田さんは「参政権があるのに候補者の声が聞けないのは不公平」と、公費負担による通訳者の配置を義務化する必要性を訴える。
 総務省によると、選挙活動に手話通訳者や演説の要約筆記者を付ける場合の費用は、公職選挙法で規定されており、候補者負担により報酬は1日につき1万5000円が上限となっている。三重県聴覚障害者協会によると、7日に投開票された同県議選(定数51)では、個人演説会などで手話通訳を導入した候補者は65人のうち2人だった。
 全日本ろうあ連盟の倉野直紀理事は「聴覚障害者が候補者の主張を理解し、快適に過ごすには法律から見直すべきだ」と指摘する。同連盟は昨年7月、市町村選挙を含む全ての選挙の個人演説会などに手話通訳や要約筆記を義務づけるよう求める要望書を総務省に提出し、聴覚障害者の参政権の保障を訴えた。
 ただ、全ての選挙に通訳者を配置するとなると、別の問題も生じる。倉野理事は「通訳者は他の仕事と掛け持ちしていることが多く、指定した日時に確実に配置するのは難しい」と話す。また現状では選挙における手話通訳者や要約筆記者の報酬水準も十分とは言えないといい、課題は多い。【森田采花】

by enpitsu2006 | 2019-04-22 11:17 | その他